南アルプスの谷間で、野菜作りながら、暮らしを楽しんでいます。
家族と一緒にいられる暮らし、自分たちの食べ物を作る暮らし、
昔ながらの知恵を活かした暮らしを求めていると、自然と農家になりました。
 
世界中から集まるボランティアとの協働生活は、異文化発見の日々。
旅をしているようなものです。
このページでは、主に農業で大切にしていることを綴ってみました。

 

感謝の気持ち

 
 何百年も前に、誰かが山を切り開き、畑にした。
その後、続く多くの人々が畑を耕し続けてきた。
そして、いま、僕が、その畑を耕している。
僕が畑を耕し、野菜を収穫できるのも、気の遠くなるような夥しい数の人々のおかげ。
先人たちに、感謝している。
そして、この先、僕も、誰かに引き継いでいけるように、大地を耕している。
 もちろん、先人だけではなく、野菜作りの主人公である大自然にも、感謝。
太陽、大地、雨、風、月、虫たち、などなど・・・
存在しなかったら、野菜なんてできないし、人間も生きていけないからね。
 
 
 
 

畑は僕のパートナー

 
 僕は畑の意見を尊重したい。
畑にも得意分野があって、豆作りは苦手だけどニンジンがうまくできる畑があれば、
反対に、ニンジンは苦手だけど豆は美味しく作れるっていう畑もある。
だから、豆が得意な畑では、無理やりニンジンを作らないことにしている。
それに、肥料を沢山あげて、大きな作物を大量に作りたいとも思わない。
畑の過重労働は避けたいところだから。
標高1000メートルに位置する僕の畑では、収穫を終える頃には雪が降る。
冬の間は、その雪のブランケット下で、畑にじっくりと休憩してもらう。
それも、美味しくて元気がでる野菜を作るには大切なことだと考えている。
 
 
 
 

植物性99%の野菜づくり

 
 僕たちは食べたものでできている。
僕は野菜をたくさん食べるから、野菜でできているようなもの。
じゃあ、口にする野菜は何でできているかを考えてみると・・・。
やっぱり、僕が口にしても大丈夫なもので、野菜はできていてほしい。
 だから、木の皮、おがくず、米ぬかとかを、必要な分だけ、畑にまきたいと思っている。
有機野菜といっても、動物の糞を肥料にして沢山まいている人もいるけど、
僕は、動物の糞を口にはしたくないから、そういうものは、畑にはまかないようにしている。
 植物性100%の野菜を作っていますって、言いたいけど、
カキ殻をほんの少し混ぜることもあるから、99%ぐらい植物性かな。
 
 
 

近所で手に入るものを

 
 できるだけ畑の周辺で手に入るものを農業で使わせてもらいたいと思っている。
たとえば、こだわって美味しい舞茸を作っておられるご近所さんから、
いらなくなった菌床をもらってくる。
それを発酵させて堆肥にして、必要な時に、必要な分量を畑に食べてもらっている。
木の皮や米ぬかとかも、近所でいただいてくる。
 畑が食べる堆肥も、地産地消がいいと思っている。
地域内で循環させることって、人に助けられながら生かされている感覚が強くなるし、
これからもずっと農業を続けていくうえで大切なことだろうと思っているから。
 
 

小さな生き物とも共存したい


 虫に関しては、土の状態を虫が教えてくれていると思う。
雑草を畑の中に残すことによって、虫の居場所をつくってあげて、畑を豊かにしてほしい。
虫の嫌いな香りのする植物を植えて、たとえば、マリーゴールドとかハーブとかを 植えると、
その匂いが嫌いな虫は寄り付かなくなる。
それから、土のバランスが崩れているせいで、虫がやってきていることもあるから、
そんな時は、なにも野菜は作らないで、土を休ませてあげると、
いづれ虫が寄ってこない土に変わることもある。
虫のための、環境作りって大切だな。
小さな虫だって、大切なパートナーだから。